Hiroya Kita
棺に花を入れた 1998
ひな祭りの夜 1997
夜空を描くみどりちゃん
 

アメリカの飛行機が機銃で私を撃った。小学校5年生の学校帰りの道でだった。彼-操縦する米兵は逃げる私を低空飛行で追いかけ狙い撃ちした。大平洋戦争中の実体験を様々に考える時、平凡な日常生活こそが私の描きたいものと思いに至る。私を撃ったあの米兵も家にいれば普窒のお父さんお兄ちゃんだったろう。彼を描くとして、人を撃ち、殺す形を描こうとは思わない。描くなら、スーパーマーケットで妻と買い物をする彼。お葬式で、死んだ父にわかれを告げる彼と家族たち。食べ物を大口開いて食う彼の顔の形。日常生活の人の形は私にはよい形、描くに値するおもしろい形に見える。それを誰にもわかる形、こどもにもわかる形で描きたい。しかし…いつかは、広島長崎の原爆投下を描きたい。熱線で瞬時に気化した幾千万の人の人の形をどう描けばよいか今はわからないけど。戦争の世紀、20世紀を3分の2生きた者として、いつかは描きたい。それが、たとえ、誰にもわからない形になったとしても。

 

 

日常生活を描く
1934年生